により山霧、都市霧などに分類されることもあり、この場合海上に発生するものは海霧と呼ばれます。
四、日本海の霧の発生機構
日本海のように海上での移流霧は、海面の水温に比べて暖かな空気の塊が海上を移動し、この空気が海から水蒸気の補給を受けるとともに冷やされてできます。
移流霧は、発生した海域に風がないと発生しにくく、広範囲には広がりません。逆に風が強すぎる場合も空気の層が撹拝さえるので霧は発生しません。従って海上の移流露が発達するためには、いくつかの条件が重なる必要があり、霧の発生を予測することは必ずしも容易ではありません。
五、日本海の霧の発生時期
日本海を緯度一度ごとの範囲を区切り、一力月内に発生した霧の日数の割合(%)を集計したのが表1です。
北緯四二度以北の六月および七月に二〇%台と高い割合で霧が発生し、また北緯四〇度以北の五月から八月に一〇%以上の割合で霧が発生することが示されて居ます。
このことから日本海の霧は、初夏から夏にかけて北緯四〇度以北で発生率が高い生言えます。

<表1> 月別緯度別霧発生率(%)

03-013-1.gif

六、日本海の霧の海域分布
六月および七月の霧の発生率の海域分布を図2に示します。使用したデータは表1と同様に、船舶からの通報に基づいて統計処理をしました。ここでは、通報数の少ない海域等を除くため、図2の太線の内部のみを統計の対象としました。
図2から、六月は北緯四一度以北で二〇%以上の発生率となっていますが、西側よりと東側(北海道)よりでは、やや小さくなっています。また三〇%以上の海域も見られています。
七月も北緯四一度以北で二〇%以上の発生率となっていて、三〇%以上の海域が見られますが、大陸沿岸寄りでやや発生率が小さくなっていること、一〇%以上の海域が日本海中央部から南西方向へ向かって伸びていることが特徴となっています。
七、おわりに
日本海では、初夏から夏にかけて霧の発生率が高いこと、また北緯四一度以北で霧の発生率が高いことが、船舶から通報された観測データからわかりました。
このように船舶から観測通報されたデータは、日々の天気予報のほかに、ここで紹介した局地的な気象現象の解明に大きな役割を果しています。
最近では、気象衛星の資料からも霧の分布状況等は推測することができるようになりましたが、実況把握のためには、船舶からの通報が重要です。今後とも船舶における気象観測のデータの通報にご協力をお願いいたします。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ